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「一体どうやって練習したら良いのか」

2024.2.13 / バランスコラム

これまでプロスポーツの現場でたくさんの選手たちを見てきました。そこで知ったのは、プロのアスリートですら、あるいは、プロのアスリートだからこそ、「一体どうやって練習したら良いのかわからない」という悩みを抱えているということです。

若いうちであれば、みんなと同じ練習をし、ベースとなる練習を繰り返すうちに自然と上達していくでしょう。しかしやがて年齢を重ねアスリートとして洗練されてくると、身体的特徴もあらわれ、個性が明確になります。自分のどこを伸ばすかという戦略も、一人ひとり違ったものになってきます。

プロのアスリートともなれば「自分なりの問題をどう見つけて、自分なりにどうトレーニングしていけば良いのか」という課題が一人ひとりまったく違うものとして立ち上がってきて、それと向き合わなければならなくなります。

さて、誰とも違う個性を持つ自分というアスリートは、一体どうしたら最良のパフォーマンスを発揮できるのでしょう。最良のパフォーマンスを引き出すために、一体どういう練習をしたら良いのでしょう。やみくもに既存の練習に当てはめてみようとしても上手くいくものでもありません。

「自分の問題はなにか」は、一人ひとりまったく違います。しかし実のところ、同時に「問題は案外みんな同じ」でもあります。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、これは、たくさんのアスリートを見てきて辿り着いたひとつの実感です。

結論から言えば、問題とは、問題を見つけるその見つけ方や思考の枠(=フレームワーク)次第です。何を問題と捉えるのか。また、狭義的に見るのか、広義的に見るのかによって、問題として見えてくるものが全く変わってきます。

もちろんフレームワークがあるから見えてくるものがあります。同時に、フレームワークで見てしまうことで見えなくなってしまうものもあります。フレームワークをパッと取り払ってしまうことで何が見えてくるかを見ることも大切になってきます。

例えば「肩」。肩になにか痛みや違和感といったものが生じたとしましょう。このとき「肩に問題がある」と見るのは狭義的な見方です。これに対して「肩に悪い症状が生じてしまうような体全体の動きをしてしまっている」と見るのが広義的な見方、ということになります。

改めて考えてみましょう。自分が発揮できるはずの最良のパフォーマンスを阻害しているものはなんでしょうか? その問題は「どこに」あるのでしょう。痛みや違和感が生じているあなたの「肩」が問題なのでしょうか。果たしてそれは本当でしょうか。

症状が出ている「肩」だけにフォーカスするのではなく、「結果的に肩に症状があらわれやすいような体全体の使い方が問題である」と広義的な見方をしてみることは、アスリートにとって実はとても大事なことです。

つづく

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